500年の時を超えて

 西暦で記念すペき2001年を迎えるにあたって、カペラが演奏している音楽が生まれていた500年前、すなわち1501年の出来事を振り返るのも意味がありましょう。

 この年には、音楽史上特筆すべき出来事が起こっています。すなわち、初めて多声音楽の楽譜が印刷・出版された年なのです。出版されたのは、ヨーロッパ有数の商業都市ヴェネツィア。それまでにも、単旋律の聖歌は出版されていたものの、複数の声部を持つ曲は、ペトルッチという楽譜出版者によって初めて出版されたのです。出版された曲集は「オデカトンA Harmonice Musices Odecaton A(「調和のある100の歌」の意味)」という、ジョスカン・デプレなどフランドル楽派の様々な作曲家によるフランス語の多声シャンソン集であり、実際には96曲が収められていました。

 楽譜出版の開始は、それまで写本という限られた流通手段しかなかった音楽界に大きな影響を与えました。それを一言で言うなら、音楽を受容する層の拡大ということになるでしょう。500年経った現在でも、16世紀にヴェネツィアで出版された楽譜がヨーロッパ各地で見つかることからもこのことは分かります。もちろん、当時の楽譜は多くても千部ほどしか出版されなかったのですから、購買できる人も貴族や富裕な市民など極めて限られた知識階級の人々でした。それでも、国際的に流通することで、最新の音楽が時差なくヨーロッパ各地に普及し、例えばジョスカンの名声は、それによりいっそう拡大されていったと考えることもできるのです。

 500年後の現在では、インターネットによる情報の世界同時発信が、きわめて安価に容易にできるようになりました。こうした、メディア革命の第一歩である印刷術の音楽への導入が500年前に起きたのです。
 
 カペラもホームページが立ち上がり、またCD制作の話も現在進行しております。こうした、メディアによってカペラの音楽に触れていった方が、もっと多く演奏会に足を運ばれて生のカペラに接していただくことを願っております。■

カペラ事務局長 斉藤基史




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