事務局だより

事務局だより第2弾は、2000年11月に行われた京都公演の報告です。
やや前のこととなってしまいましたが、カペラという団体のあり方がよく分かるものと思われます。ぜひご覧下さい。文中の写真は演奏会場となったカトリック河原町教会(聖フランシスコ・ザビエル聖堂)のポストカードよりとらせて頂きました。わずかなりとも雰囲気を感じていただければ幸いです。


京都公演をふりかえって

河原町教会正面入り口 雲一つない快晴、小春日和のなか、2000年11月6日(月)夕7時より、カペラ初めての京都公演が、京都カテドラル河原町教会において開催されました。公演前にすでにチケットは完売という当初予想もしなかった事態となり、聖堂にあふれんばかりのお客様をお迎えし、胸が一杯になりました。その大きな期待に応えたカペラのすばらしい演奏に、会場は一つになって引き込まれ、例えようのない感動に満たされました。

 カペラの音楽をこの関西の地でひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、ただそれだけの純粋な思いで準備を始めましたが、東京に比べて知名度や人脈のあまりない土地、不慣れなスタッフ、はたしてどれほどのことができるのか、不安と心細さの中でのスタートでした。そんな私たちを支えてくださったのは、京都公演実現のために最初からずっとご尽力くださっていた、カルメル会宇治修道院長の中川神父様でした。

聖堂の祭壇 「福音の響きが伝わるようなイメージでこの演奏会を準備しましょう」中川神父様のこの言葉が、今回の準備を進める上での中心的な指針となりました。あせらず、背伸びをせず、ひとりひとりに誠意を持って伝えていく。そして徐々に宣伝の輪が広がっていく。そんな地道な方針を貫くことができるようにいつも支えていただきました。その積み重ねの結果として、得難い、美しい心の輪ができあがりました。

ザビエルのステンドグラス このことはカペラの哲学にも合致していたように思います。他の項で詳しく説明がなされている通り、カペラは本格的なルネサンス教会音楽を再現するために多くのこだわりを持っています。古い記譜法による大きな手稿譜を全員で囲んで歌うこと、プログラム構成がミサ形式であること、最もふさわしい発音・発声法を追求していること、自然倍音を基にした、うなりのない純正5度を中心とするピタゴラス音律を前提にしていること、等々。けれども、その目的は単に歴史的・学術的興味、あるいは懐古主義によるものではありません。むしろ、そのようなこだわりを持つことにより、人間が計り知る以前からすでに宇宙で鳴っていた、神の創造された秩序の内にある本来の音をつかみ取り、そして、それが、結果的に、あらゆる魂の根底に共通する響きとなっていく、そんなことなのです。

聖堂内部 福音の「響きが伝わる」とは、信じなさいと無理に「伝える」のではなく、すでに響くように創られている人間の魂に「響き合っていく」ということかもしれないとすれば、まさにカペラの音楽は、私たちの体や魂が本来持っている器に自然に響くような形で響き合っていくものをめざしているように思います。そして、その響きを体験することにより、それまで気づかないで過ごしていたそのような器が自分に与えられていたことを再発見し、あらためて感謝することすらできるのです。それこそ福音(=神からの良き知らせ)であるような気がするのです。

 京都公演を聴いてくださった方々からは、魂が揺さぶられた、天使の声を聴いた、美しいハーモニーに酔いしれた、心から祈ることができた、等、続々と感動の声が寄せられています。また、公演当日の会場では涙しておられる方も多数いらっしゃいました。多くの方々と響き合うことができたこと、心から嬉しく思います。

正面から見た祭壇 最後になりましたが、京都カテドラル河原町教会という、カペラにとって願ってもない場所を使わせていただくことをおゆるしくださいました、浅田神父様、遠藤先生はじめ、河原町教会の多くの方々に心から感謝申し上げます。不慣れで行き届かないことばかりで、数々のご無礼があったことをどうかおゆるしください。京都事務局スタッフとして共にお働き下さった岡田久美さん、阿部千恵子さん、いつも励ましてくださった東京の事務局の皆さん、京都公演発案者の藤井美恵さん、そして、宣伝をしてくださった多くの方々、当日のお手伝いをしてくださった方々、本当にありがとうございました。これからもまた皆様おひとりおひとりのお力をお借りしながら、少しずつ、この響きの輪を広げていけたら、と願っています。

カペラ京都公演事務局 井上直子




◆ 事務局だよりバックナンバー ◆

2001年のごあいさつ「500年の時を超えて」

公演レポート「京都公演をふりかえって」

雑誌「音楽の友」2001年3月号の批評記事

2002年「皆様に新年のご挨拶を申し上げます。」


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