ジョスカン・デ・プレ モテット・シャンソン連続演奏会

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ヴォーカル・アンサンブル カペラ2020シーズン定期公演
ジョスカン・デ・プレ モテット・シャンソン連続演奏会

2020年10月29日(木) 午後7時15分 東京カテドラル聖マリア大聖堂

主催:株式会社フォンス・フローリス
助成:文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)

演奏プログラム

ジョスカン・デ・プレ
Josquin des Prez (ca.1450/55-1521)

1.「主の慈しみを」
“Misericordias Domini”

2. グレゴリオ聖歌:灰の水曜日のミサ固有唱より
Gregorian chant, Proprium missae in feria quarta cineres

a. 入祭唱「あなたはすべてのものをあわれまれ」
Intoitus: Misereris omnium

b. キリエ
Kyrie

3. 詠唱「主よ、私たちの罪ゆえではなく」
Tractus: “Domine, non secundum peccata”

4. 福音書朗読「その頃イエスは十二弟子を呼び寄せ」
Evangelium: “In illo tempore assumpsit Iesus”

5.「いつまで、主よ、お忘れになるのですか」
“Usquequo, Domine, oblivisceris”

休 憩

6a. グレゴリオ聖歌:アンティフォナ「ああ おとめの中のおとめよ」
Gregorian chant, Antiphona: O virgo virginum

6b.「ああ おとめの中のおとめよ」
“O virgo virginum”

7. 聖母の御告げの祝日の晩課より
Vesprae in Annuntiatione BMV

a. グレゴリオ聖歌:アンティフォナ「マリアはしかし天使にこう言った」
Gregorian chant, Antiphona: Dixit autem Maria ad Angelum

b. マニフィカト
Magnificat

c. アンティフォナ「マリアはしかし天使にこう言った」
Antiphona: Dixit autem Maria ad Angelum

8a. グレゴリオ聖歌:続唱「おとめのもとへ遣わす」
Gregorian chant, Sequentia: Mittit ad virginem

8b.「おとめのもとへ遣わす」
“Mittit ad virginem”

ヴォーカル・アンサンブル カペラ
vocal ensemble Cappella
superius: 鏑木 綾 花井尚美
contratenor: 櫻井元希 富本泰成
tenor: 及川 豊 根岸一郎
bassus: 谷本喜基 花井哲郎(Maestro di Cappella=音楽監督)

来年2021年 没後500年となる記念の年を迎えるルネサンス音楽の巨匠ジョスカン・デ・プレは、すぐれたモテットを数多く残しています。プログラムの前半には、改悛の時節の作品をお聴きいただきます。詩編を元としたジョスカンのこだわりを強く感じる「主の御あわれみを」で始まります。「主よ、私たちの罪ゆえではなく」は、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂聖歌隊員時代に教皇によって執り行われた灰の水曜日のミサのための作品です。ミサ固有唱と共に演奏します。後半は美しい聖母モテットと、ジョスカンの作とされている2曲のマフィカトのうち第3 旋法の作品を演奏します。受胎告知の様子を歌う「おとめのもとに遣わし」は輝かしく楽しげな中世の続唱に基づくモテットです。カペラが久しぶりに公の場で歌う演奏会、大聖堂の豊かな響きの中でどうぞお楽しみください。

【オンライン】ヴォーカル・アンサンブル カペラ無観客ライブ

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ヴォーカル・アンサンブル カペラ無観客ライブ
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングア》

2020年 7月13日(月) 午後 7時 カトリック関口教会 聖マリア大聖堂より
YouTube「チャンネル fons floris」にてライブ中継

主催:株式会社フォンス・フローリス
助成:文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)

6月に開催予定だったヴォーカル・アンサンブル カペラ定期公演は中止となりましたが、それに代わりYouTubeにて無観客ライブ配信を行うことになりました!どなたでもご視聴になれます。

ヴォーカル・アンサンブル カペラ
スペリウス : 花井尚美 夏山美加恵
コントラテノール:富本泰成 櫻井元希
テノール : 及川 豊 根岸一郎
バッスス : 谷本喜基 花井哲郎(音楽監督)

vocal ensemble Cappella
superius : Naomi Hanai, Mikae Natsuyama
contratenor:Yasunari Tomimoto, Genki Sakurai
tenor : Yutaka Oikawa, Ichiro Negishi
bassus : Yoshiki Tanimoto, Tetsuro Hanai (Maestro di Cappella)

演奏プログラム

ジョスカン・デ・プレ
ミサ《パンジェ・リングァ(舌よ、たたえよ)》
Josquin des Prez (ca.1450/55-1521),
Missa Pange lingua

キリストの聖体の祭日のミサ
MISSA IN FESTO SANCTISSIMI CORPORIS CHRISTI

1. グレゴリオ聖歌:入祭唱
Introitus

2. キリエ
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングァ》より
Kyrie
Josquin des Prez, Missa Pange lingua

3. グロリア
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングァ》より
Gloria
Josquin des Prez, Missa Pange lingua

4. グレゴリオ聖歌:アレルヤ唱
Alleluia

5. クレド
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングァ》より
Credo
Josquin des Prez, Missa Pange lingua

休憩

6. グレゴリオ聖歌:奉納唱
Offertorium

7. 叙唱 Praefatio

8. サンクトゥス
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングァ》より
Sanctus
Josquin des Prez, Missa Pange lingua

9. 主の祈り Pater noster

10. アニュス・デイ
ジョスカン・デ・プレ ミサ《パンジェ・リングァ》より
Agnus Dei
Josquin des Prez, Missa Pange lingua

11. 閉祭唱 Ite missa

12. ジョスカン・デ・プレ 「アヴェ・マリア、清けきおとめ」
Josquin des Prez, “Ave Maria … Virgo serena”

歌詞対訳

1. Introitus
Cibavit eos ex adipe frumenti, alleluia: et de petra, melle saturavit eos, alleluia. Exsultate Deo adiutori nostro: iubilate Deo Jacob. Gloria Patri, et Filio, et Spiritui Sancto, sicut erat in principio, et nunc, et semper, et in saecula saeculorum. Amen.

2. Kyrie
Kyrie eleison.
Christe eleison.
Kyrie eleison.

Gloria
Gloria in excelsis Deo.
Et in terra pax hominibus bonae voluntatis.
Laudamus te. Benedicimus te.
Adoramus te. Glorificamus te.
Gratias agimus tibi propter magnam gloriam tuam.
Domine Deus, Rex cealestis, Deus Pater omnipotens.
Domine Fili unigenite Jesu Christe.
Domine Deus, Agnus Dei, Filius Patris.

Qui tollis peccata mundi, miserere nobis.
Qui tollis peccata mundi, suscipe deprecationem nostram.
Qui sedes ad dexteram Patris, miserere nobis.
Quoniam tu solus sanctus.
Tu solus Dominus.
Tu solus Altissimus, Jesu Christe.
Cum Sancto Spiritu, in gloria Dei Patris. Amen.

Alleluia
Alleluia. Caro mea vere est cibus, et sanguis meus vere est potus: qui manducat meam carnem, et bibit meum sanguinem, in me manet, et ego in eo.

Credo
Credo in unum Deum,
Patrem omnipotentem, factorem caeli et terrae, visibilium omnium, et invisibilium.
Et in unum Dominum Jesum Christum,
Filium Dei unigenitum.
Et ex Patre natum ante omnia saecula.
Deum de Deo, lumen de lumine,
Deum verum de Deo vero.
Genitum, non factum, consubstantialem Patri:
per quem omnia facta sunt.
Qui propter nos homines,
et propter nostram salutem descendit de caelis.

Et incarnatus est de Spiritu Sancto ex Maria Virgine: Et homo factus est.

Crucifixus etiam pro nobis: sub Pontio Pilato passus, et sepultus est.
Et resurrexit tertia die, secundum Scripturas.
Et ascendit in caelum: sedet ad dexteram Patris.
Et iterum venturus est cum gloria, judicare vivos et mortuos: cujus regni non erit finis.

Et in Spiritum Sanctum Dominum, et vivificantem: qui ex Patre Filioque procedit.
Qui cum Patre et Filio simul adoratur,
et conglorificatur: qui locutus est per Prophetas.
Et unam sanctam catholicam et apostolicam Ecclesiam.
Confiteor unum baptisma in remissionem peccatorum.
Et exspecto resurrectionem mortuorum.
Et vitam venturi saeculi. Amen.

入祭唱
主は彼らをよい小麦で養われた。アレルヤ。岩より出た蜜で飽かせられた。アレルヤ。私たちの救いである神に喜び歌い、ヤコブの神に喜びの声を上げよう。栄光は父と子と聖霊に。初めのように今もいつも世々に。アーメン。

キリエ
主よ、憐れんでください。
キリストよ、憐れんでください。
主よ、憐れんでください。

グロリア
天のいと高きところには神に栄光。
地には善意の人に平和がありますように。
わたしたちは主をほめ、主を讃え、
主を拝み、主をあがめ、
主の大いなる栄光のゆえに感謝いたします。
神である主、天の王、全能の父である神よ。
主である御ひとり子、イエス・キリストよ。
神である主、神の小羊、父の御子よ。

世の罪を除く主よ、わたしたちを憐れんでください。
世の罪を除く主よ、わたしたちの願いを聞きいれてください。
父の右に座しておられる主よ、わたしたちを憐れんでください。
あなたのみ聖なる方、
あなたのみ主、
あなたのみいと高きもの、イエス・キリストよ。
聖霊とともに、父である神の栄光のうちに。アーメン。

アレルヤ唱
アレルヤ。私の肉は真の食物、私の血は真の飲み物であるから、私の肉を食し、私の血を飲む者は、私におり、私もまたその者にいるであろう。アレルヤ。

クレド
わたしは信じます。唯一の神、
全能の父、天と地、見えるもの、見えないもの、すべてのものの造り主を。
わたしは信じます、唯一の主イエス・キリストを。
主は神のひとり子。
すべてに先立って父より生まれ、
神よりの神、光よりの光、
まことの神よりのまことの神、
造られることなく生まれ、父と一体。
すべては主によって造られました。
主は、わたしたち人類のため、
わたしたちの救いのために天からくだり、

聖霊によって、おとめマリアよりからだを受け、人となられました。

ポンツィオ・ピラトのもとで、わたしたちのために十字架につけられ、苦しみを受け、葬られ、
聖書にあるとおり三日目に復活し、
天に昇り、父の右の座に着いておられます。
主は、生者と死者とを裁くために栄光のうちに再び来られます。その国は終わることがありません。

わたしは信じます、主であり、いのちの与え主である聖霊を。聖霊は、父と子から出て、
父と子とともに礼拝され、
栄光を受け、また預言者をとおして語られました。
わたしは、聖なる、普遍の、使徒的、唯一の教会を信じます。
罪のゆるしをもたらす唯一の洗礼を
認め、
待ち望みます、死者の復活と、
来世のいのちを。アーメン。

休憩

Offertorium

Portas caeli aperuit Dominus: et pluit illis manna, ut ederent: panem caeli dedit illis: panem angelorum manducat homo, alleluia.

Praefatio
Per omnia saecula saeculorum. -Amen. Dominus vobiscum. -Et cum spiritu tuo. Sursum corda. -Habemus ad Dominum. Gratias agamus Domino Deo nostro. -Dignum et jus-tum est. Vere dignum et justum est, aequum et salutare, nos tibi semper et ubique gratias agere: Domine sancte, Pater omnipotens, aeterne Deus.
Quia per incarnati Verbi mysterium, nova mentis nostrae oculi lux tuae claritatis infulsit: ut dum visibilier Deum cognoscimus, er hunc in ivisibilium amorem rapiamur. Et ideo cum Angelis et Archangilis, cum Thronis et Dominationibus, cumque omni militia caelestis exercitus, hymnum gloriae tuae canimus, sine fine dicentes.

Sanctus
Sanctus, Sanctus, Sanctus
Dominus Deus Sabaoth.

Pleni sunt caeli et terra gloria tua.
Hosanna in excelsis.

Benedictus qui venit in nomine Domini.
Hosanna in excelsis.

Pater noster
Per omnia saecula saeculorum. Amen. Oremus. Praeceptis salutaribus moniti, et divina institutione formati, audemus dicere:
Pater noster qui es in caelis, sanctificetur nomen tuum. Advenit regnum tuum.Fiat voluntas tuas sicut in caelo et in terra. Panem nostrum quotidianum da nobis hodie.Et dimitte nobis debita nostra sicut et nos dimittimus debitoribus nostris.Et ne nos inducas in tentationem sed libera nos a malo.

Agnus Dei
Agnus Dei qui tollis peccata mundi, miserere nobis.
Agnus Dei qui tollis peccata mundi, miserere nobis.
Agnus Dei qui tollis peccata mundi, dona nobis pacem.

Communio
Qui manducat carnem meam, et bibit sanguinem meum, in me manet, et ego in eo, dicit Dominus.

Ite missa

“Ave Maria … Virgo serena”
Ave Maria
Gratia plena,
Dominus tecum,
Virgo serena.

Ave cujus conceptio,
Solemni plena gaudio,
Caelestia, terrestria,
Nova replet laetitia.

Ave cujus nativitas
Nostra fuit solemnitas,
Ut lucifer lux oriens,
Verum solem praeveniens.

Ave pia humilitas,
Sine viro fecunditas,
Cujus annunciatio
Nostra fuit redemptio.

Ave vera virginitas,
Immaculata castitas,
Cujus purificatio
Nostra fuit purgatio.

Ave praeclara omnibus
Angelicis virtutibus,
Cujus fuit assumptio
Nostra glorificatio.

O Mater Dei,
Memento mei,
Amen.

奉納唱
主は天の門を開き、彼らを養うためにマンナを降らせ、天のパンを与えた。ひとは天使のパンを食べた。アレルヤ。

叙唱
世々にいたるまで。アーメン。主は皆さんとともに。またあなたの霊とともに。心を高く挙げましょう。主に向かって挙げましょう。私たちの神、主に感謝しましょう。それはとうとい大切な務めです。いつどこでもあなたに感謝を捧げることは、まことにとうとい大切な、正当にして救いに満ちた務めです、聖なる主、全能の父、永遠の神よ。
私たちが肉眼によって神を認め、見えないものの愛に引き上げられるようにと、主のみ栄えの新しい光明が御言葉の御託身の奥義によって私たちの心にそそぎ込まれたのです。されば、天使と大天使、座天使と主天使、またすべての天軍と共に主のみ栄えの賛歌を終わりなく歌います。

サンクトゥス
聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
万軍の神である主。

その栄光は天地に満ちています。
いと高きところにホザンナ。

幸いなるかな、主の御名によりて来られる者。
いと高きところにホザンナ。

主の祈り
世々にいたるまで。アーメン。祈りましょう。
救いの訓示に導かれ、聖なる御教えに従って、つつしんで唱えましょう。天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。

アニュス・デイ
世の罪を除く神の小羊よ、わたしたちを憐れんでください。
世の罪を除く神の小羊よ、わたしたちを憐れんでください。
世の罪を除く神の小羊よ、わたしたちに平安を与えてください。

拝領唱
わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、いつもわたしの内におり、わたしもまたいつもその人の内にいる、と主は言われる。

閉祭唱
さあ行きましょう。
神に感謝。

「アヴェ・マリア、清けきおとめ」
めでたし マリア
恵みあふれるかた
主はあなたとともにおられます
清けきおとめよ。

めでたし その御懐胎は
厳かな喜びにあふれ
天も、地も
新たな幸いに満ちる。

めでたし あなたの御誕生は
わたしたちには祝祭でした
暁の星のように
真の太陽に先駆けて立ち昇る光よ。

めでたし 敬虔な謙遜
男知らずしての御懐妊
その御告げは
わたしたちのあがないでした。

めでたし 真の処女性
けがれなき純潔
その御清めは
わたしたちの浄化でした。

めでたし あらゆる天使の徳に
輝いておられるかた
その御被昇天は
わたしたちに栄光をもたらしてくださいました。

ああ、神の母よ
わたしのことを心にとめてください
アーメン。

プログラム・ノート

美しい響きのルネサンスのミサ曲。心洗われ、天上の世界へと想いを高めてくれます。音楽的にはどのようにできているのか、そのしくみを少し理解するとまた楽しみ方の幅が広まります。本日のミサ《パンジェ・リングァ(舌よ、たたえよ)》は同名のグレゴリオ聖歌の旋律を元にして作られています。そのように多くのミサ曲はすでに知られている旋律を素材としているのです。
デュファイなどが活躍した15世紀にはその旋律をテノールの声部にほとんど原形のまま引用し、他の声部が違う旋律をそこに絡めていくという形で、各声部がそれぞれに異なる役割を担っていました。ところが1500年前後になるとその形が崩れ始め、素材となる旋律を変形させながら、それを4つの各声部が対等に模倣していく作風が生まれます。歌詞の一行ごとに一つの旋律があてがわれ、それを全声部が順繰りに模倣し、次の行の新しい旋律が現れると再び模倣が続いていくという、いわゆる通模倣様式へと発展していくのです。それが16世紀には多声音楽「ポリフォニー」の基本となります。そのような傾向をみせる最初期の作品がミサ《パンジェ・リングァ(舌よ、たたえよ)》なのです。
「パンジェ・リングァ(舌よ、たたえよ)」はイエスの肉と血をパンとぶどう酒の形で記念する「御聖体の祝日」で歌われる賛歌 Hymnus(イムヌス)です。その旋律を自由に変形、発展させながら、各声部が模倣を重ねていきます。ジョスカンはルネサンス時代のちょうど真ん中に位置し、古くからの伝統を引き継ぎながらも、新しい方向性を示す革新的な面もみせている作曲家です。来年2021年には没後500年の記念の年を迎えます。
本日はこのミサ曲を、御聖体のミサで歌われるグレゴリオ聖歌と交互に、ミサの典礼の流れで演奏します。本来は祈祷や聖書朗読などもあるわけですが、オンライン配信ということもあり、それらは省略した簡略版のプログラムです。それでも、5楽章あるミサ曲が1つの交響曲のように続けて演奏されるものではないということをご理解頂けるのではないかと思います。
「アヴェ・マリア、清けきおとめ」”Ave Maria…virgo serena”はジョスカンのモテットの中でも最もジョスカンらしさに満ちた傑作で、広く愛好されています。中世以来ヨーロッパ各地で盛んになった聖母崇敬の流れのなかで、数多くの聖母への祈りの歌が作曲されました。天使ガブリエルが受胎告知の際にマリアへ語りかけた挨拶の言葉(ルカによる福音書第1章)で始まり、マリアの生涯の中での出来事をひとつひとつ思い起こしながら、キリストを信じる者たちとにとっての意味をかみしめるという内容です。そのそれぞれの歌詞が天使の歌を思わせる清純な旋律にのせて、模倣されていきます。